この記事を書いた人

「日本泌尿器科学会泌尿器科 専門医」の資格を持ち、医師として約8年医療現場に立つ。
特に感染症、排尿障害、尿路結石、がん診療を得意としている。
2026年6月に我孫子でクリニックを開業予定。

尿路感染症とは?

尿路感染症は、尿路(腎臓、膀胱、前立腺、尿道)における感染症を指します。細菌、ウイルスや真菌(カビ)などが原因になります。感染を起こした部位によって、対応が変わりますが、基本的には抗生剤の治療を行います。

尿の流れが悪い場合などの感染症は、複雑性尿路感染症とも言われ、カテーテル留置や手術などの治療を要することがあります。

膀胱炎

最も一般的な細菌感染症の一つであり、特に女性で多くみられます。女性は尿道が男性よりも短く、肛門や膣口に近いため、細菌が膀胱に入りやすいと言われています。

また、ストレスや冷え、睡眠不足などによって免疫力が下がると、膀胱炎を繰り返しやすくなることもあります。

代表的な症状には次のようなものがあります。

  • 排尿の際にしみるような痛み(排尿痛)
  • 尿が近くなる(頻尿)
  • 残尿感がある
  • 尿が濁る、血が混じる(血尿)
  • 下腹部の不快感や痛み

適切に治療すれば速やかに改善しますが、重症になると腎盂腎炎などに波及し、発熱などを起こします。

繰り返す場合は、原因となる他の疾患(膀胱結石、前立腺疾患、糖尿病や免疫が低下する疾患など)が隠れているケースもあります。

腎盂腎炎

腎盂腎炎は、腎盂および腎実質に炎症を引き起こす細菌感染症です。発熱や背部痛などの症状を引き起こすのが一般的です。重症例では腎膿瘍(腎臓に膿がたまる)や敗血症(血液に乗って全身に菌がまわる)を引き起こすことがあります。

代表的な症状には次のようなものがあります。

  • 発熱(38℃以上)、寒気・震え
  • 横腹の痛みまたは腰痛
  • 排尿時痛、頻尿、尿意切迫感(膀胱炎を伴う場合)
  • 全身倦怠感、食欲不振、吐き気・嘔吐

軽症であれば飲み薬の抗生剤で治療できることが多いです。重症の場合や、腎膿瘍、敗血症に至った際は点滴の抗生剤治療や入院になることがあります。

また、尿の流れが悪いことが原因の時には、尿管ステントや腎瘻カテーテル留置といった手術処置が検討されることもあります。重症になる前の早期の治療介入が必要です。

前立腺炎

前立腺炎は、前立腺に炎症が生じる疾患であり、急性および慢性に分類されます。それに伴い臨床症状や治療方針が異なります。ここでは特に急性の前立腺炎に関し説明していきます。

 発熱、悪寒、会陰部痛、排尿困難、頻尿、尿意切迫感などの症状を起こします。

 重症例では前立腺が腫れることで尿が出しにくくなり尿閉になることもあります。血液にまで波及し敗血症を伴うことがあります。

前立腺肥大など前立腺の疾患が原因になることが多く、抗生剤での感染治療後も前立腺の治療を要するケースが多いです。

検査

尿検査

炎症の程度や出血を伴っていないかなどを確認します。

尿培養検査

原因菌を特定し、薬剤感受性(抗生剤の効き具合)がわかることがあります。

血液検査

特に腎盂腎炎や前立腺炎が疑われる場合に、全身の炎症反応(CRP、白血球数)や腎機能(BUN、クレアチニン)を評価します。

画像検査

超音波検査やCTで尿の流れが悪くないかを確認したり、原因となる病気がないか検索します。

治療

基本的には抗生剤での治療がメインになります。まずは飲み薬から治療を始めることが多いですが、重症の場合は点滴の治療になることがあります。

尿の流れが悪い場合などは尿道にカテーテルを入れたり、尿管へのステント留置などの手術が必要になることもあります。

原因の病気がある場合は、重症化や再発を繰り返すことがあるので、その治療も行います。

目立った原因のない単純性尿路感染の場合は、十分な水分摂取、排尿習慣の改善などの再発予防が大事です。