精巣上体炎
精巣上体炎とは?
精巣上体炎とは、精巣の後ろにある「精巣上体(副睾丸)」に炎症が起こる病気です。
細菌感染が主な原因で、急な陰嚢の痛みを引き起こす代表的な病気の一つです。年齢によって原因となる菌や感染経路が異なるのが特徴です。
放置すると強い痛みや発熱を引き起こすだけでなく、不妊の原因となることもあるため、早期の診断と治療が重要です。
精巣上体炎の原因
原因は年齢によって異なる傾向があります。
若年者(15〜35歳)
性感染症が主な原因です。
クラミジア、淋菌などが関与することが多く、性行為をきっかけに発症します。
中高年(35歳以上)
尿路感染が原因となることが多くなります。
大腸菌などの腸内細菌、前立腺肥大症による尿のうっ滞などが関係します。
その他、ウイルスや薬剤が関与している場合があります。
精巣上体炎の主な症状
以下のような症状がみられます。
- 片側の陰嚢の痛み(徐々に強くなることが多い)
- 陰嚢の腫れ・赤み・熱感
- 精巣を触ると強い痛みがある
- 発熱や悪寒
- また、尿路感染を伴う場合は
- 排尿時の痛み、頻尿
などの症状がみられることもあります。
注意が必要な症状
急激に強い痛みが出た場合は、「精巣捻転(ねじれ)」との鑑別が非常に重要です。
精巣捻転は緊急手術が必要な病気であり、発症から数時間以内の対応が必要になることがあります。
陰嚢の強い痛みがある場合は、すぐに受診してください。
精巣上体炎の検査
診断のために以下の検査を行います。
問診・診察
症状の経過や性感染症のリスク、排尿症状の有無などを確認します。
尿検査・尿培養
尿中の炎症や細菌の有無を調べ、原因菌の推定を行います。
血液検査
炎症の程度を評価します。
超音波検査(エコー)
精巣や精巣上体の腫れや血流の状態を確認します。
精巣捻転との鑑別にも重要な検査です。
性感染症検査(必要に応じて)
クラミジアや淋菌などをPCR検査で調べます。
精巣上体炎の治療
原因となる菌や年齢に応じて治療を行います。
薬物療法
抗生剤(抗菌薬)による治療が基本です。
若年者(性感染症が疑われる場合)
性感染症に対する抗生剤を使用します。
中高年(尿路感染が原因の場合)
腸内細菌に有効な抗生剤を使用します。
支持療法(症状を和らげる治療)
- 安静にする
- 痛み止めの使用
- 冷やすことで熱感を抑える
入院治療(重症例)
高熱や強い炎症がある場合には、点滴による抗生剤治療が必要になることがあります。
膿がたまった場合には、処置が必要になることもあります。
適切な治療を行えば、多くの場合1~2週間程度で症状は改善します。
ただし、痛みや違和感が完全に消えるまでには、数週間かかることもあります。
合併症について
適切に治療しない場合、以下のような合併症が起こることがあります。
- 精巣炎(炎症が広がる)
- 膿瘍形成
- 慢性的な痛み
- 不妊症(特に両側の場合)
性感染症との関係
若い方の精巣上体炎では、クラミジアや淋菌などの性感染症が原因となることがあります。
この場合、パートナーも含めた検査・治療が重要になります。
まとめ
精巣上体炎は、年齢によって原因が異なる感染症であり、適切な治療により改善が期待できます。
一方で、精巣捻転など緊急性の高い病気との鑑別が非常に重要です。
陰嚢の痛みや腫れがある場合は、早めの受診をおすすめします。