この記事を書いた人

「日本泌尿器科学会泌尿器科 専門医」の資格を持ち、医師として約8年医療現場に立つ。
特に感染症、排尿障害、尿路結石、がん診療を得意としている。
2026年6月に我孫子でクリニックを開業予定。
腎嚢胞とは?
腎嚢胞(じんのうほう)とは、腎臓の内部や表面にできる“液体がたまった袋(嚢胞)”のことをいいます。多くの場合は良性で、特に症状もなく経過します。
腎嚢胞は単純性腎嚢胞、複雑性嚢胞と多発性腎嚢胞(遺伝性疾患を含む)に分類され、必要な検査や治療方針が異なります。
腎嚢胞の分類
1. 単純性腎嚢胞
最も一般的な腎嚢胞で、加齢に伴い発生することが多い。通常は無症状で良性です。
- 嚢胞内は透明な液体で満たされている。
- 嚢胞の壁は薄く、石灰化や充実性成分を伴わない。
- 画像診断(超音波、CT、MRI)で容易に診断可能。
治療
- 無症状の場合、治療は不要。
- 嚢胞が大きくなり腎機能障害や痛みを引き起こす場合は、穿刺や外科的治療を検討する。
2. 複雑性腎嚢胞
複雑性腎嚢胞は、単純性腎嚢胞とは異なり、嚢胞内に出血成分、充実成分、石灰化、隔壁(区切りの壁)、または造影剤の取り込みを伴う腎嚢胞を指します。これらの特徴として、悪性腫瘍(腎細胞癌など)の可能性を示唆する場合があります。
超音波検査はスクリーニングに用いますが、複雑性腎嚢胞の評価にはCTやMRIが必要になることがあります。
造影剤を使ったCT検査はBosniak分類(悪性の可能性を評価する分類)を判断するのに最適で、嚢胞内の造影剤取り込みを確認します。
MRIは造影剤アレルギーがある場合や、詳細な評価のために必要なことがあります。
治療
- 悪性の可能性が高くなければ、定期的な観察のみになることが多いです。
- 悪性の可能性が考慮される場合は、早期の外科的治療が推奨されます。
3. 多発性腎嚢胞
遺伝性疾患や腎疾患に関連して発生することがある。代表的な疾患には以下が含まれる。
- 常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD): 最も一般的な遺伝性腎疾患。
- 常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD): 小児期に発症する稀な疾患。
- 後天性腎嚢胞病(ACKD): 慢性腎疾患や透析患者に多い。
特に遺伝性腎嚢胞は、 嚢胞が腎臓全体に広がり、腎機能低下を引き起こすことがあります。 ADPKDでは、腎臓以外にも嚢胞(肝嚢胞、脳動脈瘤など)が認められることもあります。
腎機能低下のリスクがある場合は、内科での経過観察・治療を要することがあります。