この記事を書いた人

「日本泌尿器科学会泌尿器科 専門医」の資格を持ち、医師として約8年医療現場に立つ。
特に感染症、排尿障害、尿路結石、がん診療を得意としている。
2026年6月に我孫子でクリニックを開業予定。
尿道炎とは?
尿道炎は、尿道に炎症が起こる疾患で、主に細菌やウイルスの感染が原因となります。腸内細菌などの常在菌が感染することもありますが、特に若いほど性感染症として発症することが一般的です。
男性では精巣上体炎、前立腺炎、不妊症の原因となることがあります。女性では骨盤内炎症性疾患(PID)や不妊症のリスクが増加します。
尿道炎の症状
- 排尿時の痛み(排尿痛)
- 尿道からの分泌物(膿)
- 頻尿・残尿感
- かゆみ・違和感
女性の場合、症状が軽いため気づきにくいこともありますが、不正出血や下腹部の違和感がある場合は注意が必要です。
尿道炎の原因菌
淋菌:Neisseria gonorrhoeae(淋菌)
強い排尿時痛・膿性の尿道分泌物(黄色~緑色)などが特徴です。
近年は飲み薬への耐性菌が増加しており、点滴抗生剤が推奨されます。
クラミジア:Chlamydia trachomatis(クラミジア・トラコマティス)
淋菌と合わせて原因菌としてメジャーです。淋菌を除く尿道炎(非淋菌性尿道炎)の中で50%ほどと言われています。
マイコプラズマ:Mycoplasma genitalium(マイコプラズマ・ジェニタリウム)
日本では10〜20%程度の頻度で検出される。近年、耐性菌の増加が問題となっている。
ウレアプラズマ:Ureaplasma urealyticum(ウレアプラズマ・ウレアリチカム)
Ureaplasma parvum(ウレアプラズマ・パルバム)
淋菌を除く尿道炎(非淋菌性尿道炎)の中で10-20%ほどみうけられます。
その他
トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、ヘルペスウイルス(HSV)、腸内細菌など
尿道炎の検査
尿検査
尿中の白血球を調べることで、尿道炎スクリーニング検査を行います。
微生物学的検査
尿道からの分泌物や尿を用いて原因菌(淋菌やクラミジアなど)の特定を行います。
(場合によっては咽頭のぬぐい液、うがい液を検査することもあります。)
グラム染色
尿道分泌物をスライドに塗布し、グラム染色を行います。
培養検査
分離培養を行い、原因菌の特定・抗菌薬の感受性試験も併せて検査できます。しかし、性感染症の原因菌は淋菌を除き、ほとんどこの検査で特定できません。
PCR
尿や尿道分泌物から病原体のDNA/RNAを検出します。検査には数日の日数がかかります。性感染症の菌に対し、確実性の高い方法です。
尿道炎の治療
尿道炎の治療は、原因となる病原体に応じて異なりますが、基本的には抗生剤の投薬治療になります。
淋菌感染症の場合は点滴治療を勧めますが、その他の菌であれば基本的に飲み薬の治療になります。近年は耐性菌も増えているため、1種類の内服で改善しないことがあり、追加の加療が必要になることがあります。
性感染症が原因の場合、パートナーも同時に治療を受けないと、再感染のリスクがあるため、パートナーも合わせた受診が重要になります。
また、原因菌が特定できているときは、加療後にPCR検査などで陰性の確認まで行うことがより確実です。