尿失禁

尿失禁とは?

尿失禁とは、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態を指します。

日常生活に支障をきたすことも多く、外出を控えるようになったり、心理的なストレスの原因になることもあります。しかし、適切な治療により改善が期待できる場合が多く、決して珍しい症状ではありません。

尿失禁は医学的には「自分の意思に反して起こる尿漏れ」と定義されており、生活の質(QOL)に大きく関わる症状です。

成人女性では約15〜40%、男性でも5〜15%にみられるとされ、特に加齢とともに増加します。

尿失禁の種類と特徴

尿失禁にはいくつかのタイプがあり、それぞれ原因や治療方法が異なります。

腹圧性尿失禁

お腹に力が入ったときに尿が漏れるタイプです。

  • 咳やくしゃみをしたとき
  • 重いものを持ち上げたとき
  • 運動や立ち上がりの動作

などで尿が漏れるのが特徴です。骨盤底筋の弱まりや尿道の締まりの低下が原因です。

主に女性に多く、出産や加齢により骨盤底筋が弱くなることが原因とされています。

切迫性尿失禁

急に強い尿意が起こり、トイレに間に合わず漏れてしまうタイプです。

  • 急に我慢できなくなる
  • トイレに行く途中で漏れてしまう

といった症状がみられます。

膀胱の過敏化や神経の働きの変化が関与しており、過活動膀胱などが原因となることが多いです。

混合性尿失禁

腹圧性と切迫性の両方の症状をあわせ持つタイプです。実際にはこのタイプも多くみられます。

その他の尿失禁

溢流性尿失禁

尿がうまく出せず膀胱にたまりすぎた結果、少しずつ漏れてしまう状態です。尿の通り道の障害(前立腺肥大症など)や神経障害などが原因となることがあります。

機能性尿失禁

体の動きや認知機能の問題により、トイレに間に合わず漏れてしまう状態です。

尿失禁の検査

尿失禁の原因を特定するために、以下のような検査を行います。

問診、排尿日誌

尿が漏れる状況(腹圧時か、急な尿意か)や頻度、排尿回数、夜間頻尿の有無などを確認します。
排尿日誌により、症状のパターンや尿量を把握します。

尿検査

感染や血尿の有無を確認します。

超音波検査(エコー)

膀胱の残尿量を測定し、排尿障害がないかと前立腺を評価します。また、膀胱内に異常がないかも確認します。

尿流測定検査

排尿の勢いや流れを確認し、尿の出にくさがないかを調べます。

膀胱鏡検査(必要に応じて)

膀胱内の病変が疑われる場合に行います。

必要に応じて、より詳しい検査(尿のため方・出し方を調べる検査)を行うこともあります。

尿失禁の治療

尿失禁はタイプに応じて段階的に治療を行います。

生活習慣の改善

  • 体重管理
  • カフェイン・アルコールの制限
  • 便秘の改善

行動療法(第一選択)

骨盤底筋トレーニング

尿道や膀胱を支える筋肉を鍛え、特に腹圧性尿失禁に有効です。

膀胱訓練

排尿間隔を徐々に延ばし、切迫性尿失禁の改善を目指します。

薬物療法

抗コリン薬・β3作動薬

膀胱の過剰な収縮を抑え、切迫性尿失禁に有効です。

α1遮断薬

前立腺肥大症を伴う場合に使用します。

手術療法(必要に応じて)

症状が強い場合や、保存的治療で十分な効果が得られない場合に検討されます。

腹圧性尿失禁

尿道を支えるスリング手術(TOT,TVTなど)が行われ、比較的高い改善効果が期待できます。

切迫性尿失禁(重症例)

ボツリヌス毒素の膀胱内注入や神経刺激療法が検討されます。

溢流性尿失禁

原因となる前立腺肥大症などの手術治療

まとめ

尿失禁は多くの方が悩まれている症状ですが、原因やタイプに応じた適切な治療により改善が期待できます。

「年齢のせい」とあきらめず、気になる症状がある場合はお気軽にご相談ください。