夜中に何度もトイレに起きるのは、睡眠時無呼吸が原因かもしれません

「夜中に2回、3回とトイレに起きる」

そんな夜間頻尿でお悩みの方は少なくありません。

夜間頻尿というと、

「年齢のせいかな」
「前立腺が大きいから?」
「膀胱が弱くなったのかな?」

と思われることが多いですが、原因はそれだけではありません。

実は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が夜間頻尿や夜間多尿の原因の一つになることがあります。

夜間頻尿の原因は「膀胱」だけではありません

夜間頻尿とは、夜間に排尿するために一度以上起きることをいいます。

実際には、夜間に2回以上起きるようになると、睡眠や生活の質への影響を強く感じる方が増えてきます。

夜間頻尿の原因は大きく分けると、

・夜につくられる尿そのものが多い
・膀胱に十分な尿をためられない
・睡眠が浅く、途中で目が覚めてしまう
・これらが複数重なっている

などがあります。

つまり、夜中にトイレへ行く=前立腺や膀胱が原因、とは限らないのです。

「夜間頻尿」と「夜間多尿」は少し違います

「夜間頻尿」は、夜中に何回トイレへ起きるかという症状を表します。

一方、「夜間多尿」は、1日の尿量のうち夜につくられる尿の割合が多くなっている状態です。

たとえば、「夜中に3回起きるけれど、毎回かなり尿が出る」

という方では、膀胱が小さいのではなく、そもそも夜間につくられる尿が多くなっている可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群は、この「夜間多尿」を引き起こす原因の一つです。

なぜ睡眠時無呼吸で夜の尿が増えるの?

睡眠時無呼吸症候群では、眠っている間に空気の通り道が塞がり、呼吸しようとしても十分に空気が入らない状態を繰り返します。

その際、胸の中の圧力や血液循環などに変化が起こります。

その影響によって、尿やナトリウムの排泄に関係するホルモンが変化し、夜間につくられる尿が増えることがあると考えられています。

以前から、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)などの関与が指摘されています。ただし、最近では睡眠時無呼吸症候群による夜間多尿の仕組みはそれだけではなく、自律神経、低酸素、循環動態など複数の要因が関係すると考えられています。

つまり、

睡眠時無呼吸症候群 → 睡眠中の無呼吸 → 体の循環やホルモンに影響 → 夜間の尿量が増える

ということが起こり得ます。

「尿が増える」だけではありません

睡眠時無呼吸症候群による夜間頻尿には、もう一つ重要な理由があります。

睡眠時無呼吸症候群では無呼吸になるたびに脳が短時間覚醒し、睡眠が細かく分断されます。

そのため、 尿意で目が覚める のではなく、

睡眠時無呼吸症候群で目が覚める → 起きたので尿意を感じる → トイレへ行く

という場合もあります。

夜間頻尿と睡眠は、お互いに影響し合っています。

このため「夜中に何度もトイレに行く」という症状だけを見て、膀胱の薬だけで治療しても十分改善しないことがあります。

こんな夜間頻尿では睡眠時無呼吸症候群も疑います

夜間頻尿のある方の中でも、特に次のような場合には睡眠時無呼吸症候群が隠れていないか確認することが大切です。

・前立腺や膀胱の治療をしても夜間頻尿が残っている
・夜間の1回尿量が比較的多い
・大きないびきをかく
・朝起きても疲れが取れない
・日中に眠気がある
・高血圧がある

もちろん、これらに当てはまるからといって必ずSASというわけではありません。

しかし、睡眠時無呼吸症候群は本人では気づきにくい病気です。

上記のような症状がある方では、一度睡眠についても評価してみる価値があります。

睡眠時無呼吸症候群を治療すると夜間頻尿が改善することもあります

夜間頻尿の原因が睡眠時無呼吸症候群に関係している場合には、睡眠時無呼吸症候群を治療することで夜間の排尿回数が減ることがあります。

CPAP治療を行った睡眠時無呼吸症候群の患者さんをまとめた解析結果では、CPAP治療後に夜間排尿回数と夜間尿量が減少したことが報告されています。

また、日本の夜間頻尿診療ガイドラインでも、睡眠時無呼吸症候群の重症度と夜間頻尿との関連や、CPAP治療によって夜間頻尿が改善した報告が取り上げられています。

ただし、夜間頻尿には複数の原因が重なっていることも多いため、CPAPを始めれば必ず夜間頻尿がなくなる、というわけではありません。

前立腺肥大症、過活動膀胱、夜間多尿、飲水量、腎機能、循環器疾患なども含めて総合的に判断する必要があります。

当院では「排尿」と「睡眠」の両方から評価します

夜間頻尿は泌尿器科で非常によくみられる症状ですが、その原因は泌尿器だけとは限りません。

当院では、

前立腺・膀胱の評価

必要に応じたSASの評価

というように、夜間頻尿の原因を幅広く考えて診療します。

睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、ご自宅で行える睡眠時無呼吸の簡易検査にも対応しています。

【睡眠時無呼吸症候群の検査は自宅でできる?簡易検査について解説】

夜間頻尿でお悩みの方へ

「年齢だから仕方がない」
「前立腺の薬を飲んでいるけれど、夜だけ良くならない」

そんな夜間頻尿の背景に、夜間多尿や睡眠時無呼吸症候群が隠れている場合があります。

夜間頻尿でお困りの方は、お気軽にご相談ください。