健診結果の見方

健康診断で異常を指摘されても、

  • 「すぐ受診した方がいいの?」
  • 「様子を見ても大丈夫?」
  • 「どの診療科を受診すればいいの?」

と悩まれる方は少なくありません。

特に尿検査や腎機能異常は、自覚症状がないまま進行することがあります。

当院では泌尿器科専門医として、尿路・腎臓・前立腺などに関する健診異常の精査を行っています。

尿検査

尿潜血

結果判定
(-)正常
(±)要再検査
(1+)要再検査
(2+)以上異常

尿潜血とは?

尿に血液が混じっている可能性のある状態です。

健診で陽性になっても、必ずしも尿が赤く見えるわけではありません。

尿潜血の原因には、一時的なものとして「激しい運動」「発熱」「月経」「脱水」などのこともありますが、以下のような病気が隠れていることがあります。

泌尿器科的な原因

そのほか腎臓の病気

  • IgA腎症
  • 糸球体腎炎

など

▶当院コラム「血尿」

尿蛋白

結果判定
(-)正常
(±)要再検査
(1+)要再検査
(2+)以上異常
(3+)以上早めの受診推奨

尿蛋白とは?

本来、たんぱく質は腎臓でろ過されても尿にはほとんど漏れません。

尿蛋白が出ている場合は、腎臓のフィルター機能に異常が起きている可能性があります。

発熱や運動後などで、一時的に陽性になることがあるため、再検査が必要です。

程度が強い場合や、持続する場合は以下のような腎臓の病気の可能性があります。

  • IgA腎症
  • 慢性糸球体腎炎
  • ネフローゼ症候群
  • 糖尿病性腎症

▶当院コラム「尿蛋白」

尿潜血も一緒にある場合

『尿潜血+尿蛋白』 の場合は、

腎炎などの腎疾患の可能性が高くなるため注意が必要です。

尿糖

結果判定
(-)正常
(±)要再検査
(1+)以上血糖評価推奨
(2+)以上糖尿病精査推奨

尿糖とは?

尿に糖が漏れ出ている状態です。

尿糖が陽性の場合は、血糖値やHbA1c(糖尿病精査の採血)も重要になります。

糖尿病が原因となることが多いですが、若い方では腎性糖尿という体質によることもあります。

尿糖が高い場合は、糖尿病が隠れている可能性があるだけでなく、尿路感染症にもなりやすくなるため注意が必要です。

白血球

結果判定
(-)正常
(±)要再検査
(1+)以上尿路感染症を疑う

白血球とは?

白血球は体を守る免疫細胞です。

尿中に増加している場合、尿路の炎症や感染症が疑われます。

膀胱炎前立腺炎性感染症などが隠れていることがあります。

特に男性では、結石前立腺肥大といった病気からつながっていることがあります。

亜硝酸塩

結果判定
(-)正常
(+)細菌感染を疑う

亜硝酸塩とは?

大腸菌などの細菌は、尿中の硝酸塩を亜硝酸塩に変える性質があります。

そのため亜硝酸塩陽性は、膀胱炎を強く疑う所見になります。

ただし、亜硝酸塩陰性でも膀胱炎は否定できません。

女性の膀胱炎では、白血球陽性・亜硝酸塩陰性となることも少なくありません。

腎・泌尿器にかかわる採血項目

腎機能検査(クレアチニン・eGFR)

クレアチニン(Cre)とは?

クレアチニンは筋肉から作られる老廃物で、腎臓から尿中へ排泄されます。

腎機能が低下するとクレアチニンが体内に蓄積し、血液中の値が高くなります。

ただし筋肉量の影響を受けるため、

  • 男性
  • 若年者
  • 筋肉量の多い方

ではやや高めになることがあります。

クレアチニンの目安

項目基準値
男性~1.0 mg/dL程度
女性~0.7 mg/dL程度

※施設によって基準値は異なります。

eGFRとは?

eGFR(推算糸球体濾過量)は、腎臓がどの程度血液をろ過できているかを推定した値です。クレアチニンから算出される値です。推定値にはなりますが、この数値が低い場合は、腎臓の機能が低下していると判断されます。

eGFRの目安

eGFR判定
90以上正常
60~89軽度低下
30~59中等度低下
15~29高度低下
15未満末期腎不全

健診でeGFR低下を指摘されたら?

eGFRは年齢とともに徐々に低下します。

しかし、

などが原因となることがあります。尿検査での蛋白と合わせて精査が必要です。

特に泌尿器科では「尿の通り道が詰まることで腎機能が低下していないか」を確認することが重要です。尿の流れ・詰まりを解消させることで、腎機能の改善を図れることがあります。

PSA(前立腺特異抗原)検査

PSAとは?

PSA(前立腺特異抗原)は前立腺で作られるタンパク質です。

採血で測定することができ、前立腺がんの早期発見に役立つ検査として広く行われています。

我孫子市の前立腺がん検診でも測定される項目です。

PSAの目安

PSA値一般的な評価
4.0 ng/mL未満おおむね正常
4.0~10.0 ng/mL精査を検討
10.0 ng/mL以上前立腺がんリスク上昇

※年齢や前立腺の大きさによって評価は異なります。

PSAが高い=前立腺がん?

必ずしもそうではありません。

PSAが高くなる原因には、

などがあります。

そのため、PSA高値だけで前立腺がんと診断することはできません。

しかし、放置はおすすめできません

一方で、PSA高値の背景に前立腺がんが見つかることもあります。

特に、

  • PSAが4.0 ng/mL以上
  • 年々上昇している
  • 家族に前立腺がんの方がいる

場合は注意が必要です。

前立腺がんは初期には症状がほとんどなく、健康診断が発見のきっかけになるケースが少なくありません。早期発見ができれば治療の効果もかなり高くなります。

腹部超音波検査(エコー検査)について

腹部超音波検査(エコー検査)は、超音波を用いて体の内部を観察する検査です。

放射線被ばくがなく、痛みもないため、安心して受けていただける検査です。

健診で行われることがあり、異常を指摘されることがあります。

▶当院コラム「腹部エコー検査(超音波検査)」

腹部エコーでわかる主な病気

尿路結石

尿路結石は、腎臓や尿管、膀胱などに結石(石)ができる病気です。

痛みを伴わずに健診で見つかることがあります。

腹部超音波検査では、

  • 腎結石
  • 膀胱結石

を確認することができます。

尿管結石では、結石そのものが見えなくても、水腎症が見つかることで診断の手がかりになることがあります。

▶ 当院コラム「尿路結石」

水腎症

尿の流れが悪くなり、腎臓に尿がたまった状態です。

原因として、

などがあります。

▶ 当院コラム「水腎症」

腎のう胞

腎臓の中に水がたまった袋ができる病気です。

加齢とともに増えることが多く、多くは良性です。

ただし、大きさや形によっては詳しい検査が必要になることがあります。

▶当院コラム「腎のう胞」

腎腫瘍(腎がん)

腎臓にできる腫瘍です。

早期には症状がほとんどなく、健康診断やエコー検査で偶然発見されることもあります。

▶ 当院コラム「腎がん」

膀胱腫瘍

膀胱内にできる腫瘍です。

血尿をきっかけに見つかることが多い病気ですが、エコー検査で発見されることもあります。

▶ 当院コラム「膀胱がん」

前立腺肥大症

加齢とともに前立腺が大きくなり、

  • 尿が出にくい
  • 頻尿
  • 夜間頻尿

などの症状が出る病気です。

エコー検査では前立腺の大きさや残尿量を確認できます。

▶ 当院コラム「前立腺肥大症」