健診結果の見方
健康診断で異常を指摘されても、
- 「すぐ受診した方がいいの?」
- 「様子を見ても大丈夫?」
- 「どの診療科を受診すればいいの?」
と悩まれる方は少なくありません。
特に尿検査や腎機能異常は、自覚症状がないまま進行することがあります。
当院では泌尿器科専門医として、尿路・腎臓・前立腺などに関する健診異常の精査を行っています。
尿検査
尿潜血
| 結果 | 判定 |
|---|---|
| (-) | 正常 |
| (±) | 要再検査 |
| (1+) | 要再検査 |
| (2+)以上 | 異常 |
尿潜血とは?
尿に血液が混じっている可能性のある状態です。
健診で陽性になっても、必ずしも尿が赤く見えるわけではありません。
尿潜血の原因には、一時的なものとして「激しい運動」「発熱」「月経」「脱水」などのこともありますが、以下のような病気が隠れていることがあります。
泌尿器科的な原因
そのほか腎臓の病気
- IgA腎症
- 糸球体腎炎
など
尿蛋白
| 結果 | 判定 |
|---|---|
| (-) | 正常 |
| (±) | 要再検査 |
| (1+) | 要再検査 |
| (2+)以上 | 異常 |
| (3+)以上 | 早めの受診推奨 |
尿蛋白とは?
本来、たんぱく質は腎臓でろ過されても尿にはほとんど漏れません。
尿蛋白が出ている場合は、腎臓のフィルター機能に異常が起きている可能性があります。
発熱や運動後などで、一時的に陽性になることがあるため、再検査が必要です。
程度が強い場合や、持続する場合は以下のような腎臓の病気の可能性があります。
- IgA腎症
- 慢性糸球体腎炎
- ネフローゼ症候群
- 糖尿病性腎症
尿潜血も一緒にある場合
『尿潜血+尿蛋白』 の場合は、
腎炎などの腎疾患の可能性が高くなるため注意が必要です。
尿糖
| 結果 | 判定 |
|---|---|
| (-) | 正常 |
| (±) | 要再検査 |
| (1+)以上 | 血糖評価推奨 |
| (2+)以上 | 糖尿病精査推奨 |
尿糖とは?
尿に糖が漏れ出ている状態です。
尿糖が陽性の場合は、血糖値やHbA1c(糖尿病精査の採血)も重要になります。
糖尿病が原因となることが多いですが、若い方では腎性糖尿という体質によることもあります。
尿糖が高い場合は、糖尿病が隠れている可能性があるだけでなく、尿路感染症にもなりやすくなるため注意が必要です。
白血球
| 結果 | 判定 |
|---|---|
| (-) | 正常 |
| (±) | 要再検査 |
| (1+)以上 | 尿路感染症を疑う |
白血球とは?
白血球は体を守る免疫細胞です。
尿中に増加している場合、尿路の炎症や感染症が疑われます。
特に男性では、結石や前立腺肥大といった病気からつながっていることがあります。
亜硝酸塩
| 結果 | 判定 |
|---|---|
| (-) | 正常 |
| (+) | 細菌感染を疑う |
亜硝酸塩とは?
大腸菌などの細菌は、尿中の硝酸塩を亜硝酸塩に変える性質があります。
そのため亜硝酸塩陽性は、膀胱炎を強く疑う所見になります。
ただし、亜硝酸塩陰性でも膀胱炎は否定できません。
女性の膀胱炎では、白血球陽性・亜硝酸塩陰性となることも少なくありません。
腎・泌尿器にかかわる採血項目
腎機能検査(クレアチニン・eGFR)
クレアチニン(Cre)とは?
クレアチニンは筋肉から作られる老廃物で、腎臓から尿中へ排泄されます。
腎機能が低下するとクレアチニンが体内に蓄積し、血液中の値が高くなります。
ただし筋肉量の影響を受けるため、
- 男性
- 若年者
- 筋肉量の多い方
ではやや高めになることがあります。
クレアチニンの目安
| 項目 | 基準値 |
|---|---|
| 男性 | ~1.0 mg/dL程度 |
| 女性 | ~0.7 mg/dL程度 |
※施設によって基準値は異なります。
eGFRとは?
eGFR(推算糸球体濾過量)は、腎臓がどの程度血液をろ過できているかを推定した値です。クレアチニンから算出される値です。推定値にはなりますが、この数値が低い場合は、腎臓の機能が低下していると判断されます。
eGFRの目安
| eGFR | 判定 |
|---|---|
| 90以上 | 正常 |
| 60~89 | 軽度低下 |
| 30~59 | 中等度低下 |
| 15~29 | 高度低下 |
| 15未満 | 末期腎不全 |
健診でeGFR低下を指摘されたら?
eGFRは年齢とともに徐々に低下します。
しかし、
などが原因となることがあります。尿検査での蛋白と合わせて精査が必要です。
特に泌尿器科では「尿の通り道が詰まることで腎機能が低下していないか」を確認することが重要です。尿の流れ・詰まりを解消させることで、腎機能の改善を図れることがあります。
PSA(前立腺特異抗原)検査
PSAとは?
PSA(前立腺特異抗原)は前立腺で作られるタンパク質です。
採血で測定することができ、前立腺がんの早期発見に役立つ検査として広く行われています。
我孫子市の前立腺がん検診でも測定される項目です。
PSAの目安
| PSA値 | 一般的な評価 |
|---|---|
| 4.0 ng/mL未満 | おおむね正常 |
| 4.0~10.0 ng/mL | 精査を検討 |
| 10.0 ng/mL以上 | 前立腺がんリスク上昇 |
※年齢や前立腺の大きさによって評価は異なります。
PSAが高い=前立腺がん?
必ずしもそうではありません。
PSAが高くなる原因には、
などがあります。
そのため、PSA高値だけで前立腺がんと診断することはできません。
しかし、放置はおすすめできません
一方で、PSA高値の背景に前立腺がんが見つかることもあります。
特に、
- PSAが4.0 ng/mL以上
- 年々上昇している
- 家族に前立腺がんの方がいる
場合は注意が必要です。
前立腺がんは初期には症状がほとんどなく、健康診断が発見のきっかけになるケースが少なくありません。早期発見ができれば治療の効果もかなり高くなります。
腹部超音波検査(エコー検査)について
腹部超音波検査(エコー検査)は、超音波を用いて体の内部を観察する検査です。
放射線被ばくがなく、痛みもないため、安心して受けていただける検査です。
健診で行われることがあり、異常を指摘されることがあります。
腹部エコーでわかる主な病気
尿路結石
尿路結石は、腎臓や尿管、膀胱などに結石(石)ができる病気です。
痛みを伴わずに健診で見つかることがあります。
腹部超音波検査では、
- 腎結石
- 膀胱結石
を確認することができます。
尿管結石では、結石そのものが見えなくても、水腎症が見つかることで診断の手がかりになることがあります。
水腎症
尿の流れが悪くなり、腎臓に尿がたまった状態です。
原因として、
などがあります。
腎のう胞
腎臓の中に水がたまった袋ができる病気です。
加齢とともに増えることが多く、多くは良性です。
ただし、大きさや形によっては詳しい検査が必要になることがあります。
腎腫瘍(腎がん)
腎臓にできる腫瘍です。
早期には症状がほとんどなく、健康診断やエコー検査で偶然発見されることもあります。
膀胱腫瘍
膀胱内にできる腫瘍です。
血尿をきっかけに見つかることが多い病気ですが、エコー検査で発見されることもあります。
前立腺肥大症
加齢とともに前立腺が大きくなり、
- 尿が出にくい
- 頻尿
- 夜間頻尿
などの症状が出る病気です。
エコー検査では前立腺の大きさや残尿量を確認できます。